うさぎとマングース ケンカをする
うさぎの〝Cherry blossom〟と、マングースのジョーは仲が悪い!
いつも顔を合わせては、ケンカばかりしている。くじゃくの愛抱夢が通っても気付かない。わぁわぁ大声を出した。
「脳筋ゴリラ!」
うさぎの〝Cherry blossom〟は、マングースのジョーにいう。
「卑怯眼鏡!」
マングースのジョーは、うさぎの〝Cherry blossom〟にいう。
けれど、〝Cherry blossom〟とジョーはムキムキでもないし、眼鏡もかけていない。くじゃくの愛抱夢と同じように、首にバンダナを巻いていた。
うさぎの〝Cherry blossom〟は、ニンジャみたいに黒い布で口をかくしていたのだけれど。
わっ、とマングースのジョーは足を大きくひらいて、両手を高く上げた。
「すかたん!!」
自分を大きく見せるいかくのポーズだ。
うさぎの〝Cherry blossom〟の耳が、ピンッと立った。しっぽだって、まっすぐ立つ! キッと目をつりあげて、フーッフーッにらんだ。
「ぼけなす!!」
どんどん、と足で地面をふみつける。どんどん、どんどん、なんどもだ。
マングースのジョーも、シャーッと口を大きく開けながら、トガったきばを見せた。
「どてかぼちゃ!」
ピンク色の口の中が見えた。これに、うさぎの〝Cherry blossom〟が、きょうみを持つ。だって、自分とちがう口の中だったからだ。
「な、なんだ」
マングースのジョーが、ちょっとだけひるむ。口を閉じて、うさぎの〝Cherry blossom〟から、ちょっとはなれた。
「もう少し、よく見せろ。ぼんくら」
うさぎの〝Cherry blossom〟が、ジョーをわるくいう。
ジリ、ジリ。うさぎとマングースは、はなれたままだ。ギュッと、〝Cherry blossom〟はお気に入りのニンジンのぬいぐるみをだきしめた。
けづくろいをおえたくじゃくの愛抱夢が、あきたようにいう。
「君たち、全然飽きないよね」
そうしつもんした愛抱夢に、うさぎの〝Cherry blossom〟とマングースのジョーは、わっといった。
「そうじゃない!! 愛抱夢、俺と勝負をしろ!」
「いいや、俺とだ!」
「負け犬ゴリラはすっこんでいろ!!」
「お前だって愛抱夢に負けた癖に!」
すぐにうさぎとマングースがケンカをはじめた。こんどはとっくみあいだ! ギャアギャア、にひきの顔はこわい。すっかりいやになった愛抱夢は、はなれてしまった。
にひきのケンカはつづく。ヒラリ、くじゃくの羽が、愛抱夢のいたところに落ちる。それに気付いた〝Cherry blossom〟が、ジョーをたたく手を止めた。
「このぼけなす! お前のせいで愛抱夢を逃がした!」
「それはこっちのセリフだ! すかたん!!」
くじゃくの愛抱夢をにがしたことに、にひきはギャアギャアさわぐ。くやしくて、おたがいのからだをカプッとかんだ。おわり。