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朝起きて、どうも肌寒い。全裸で寝起きする南城は、今日の天候をチェックした。本日は晴れである。しかしながら、最低気温が沖縄で一番低い。今年初の寒波だ。(異常気象でも起きたか?)それは北にある陸地の話である。遥か南にある小さな離島で起こる日常の災害は、台風そのものに他ならない。ジョキングに使うジャージを着込むかと考え、却下する。走れば体温が上がるし、走る前に身体を慣らせば問題ない。鍛え抜いた筋肉に負担がかからないよう、いつもより念入りにストレッチをした。
準備体操を終えると、家を出て近所を走る。カーブミラーが、キラリと朝日を反射した。これに今日は冬であると事実を突き付けられる。ウォーミングアップで走る南城の口から出た吐息が、冷たい外気で凍える。滅多に見られない息の凍てつきを楽しんだあと、鼻呼吸に戻った。朝の散歩を愛犬とする住人と、挨拶を交わす。南城の過去を知る者はいるか? との質問に対しては、そこに存在する人物たちの中には答えは存在しない。ある者は知らないし、ある者は同級生や同じ学校にいたことすら忘れる。もしくは最初から持ち合わせていなかった。そんな朝のジョキングをする南城は、高校生の頃と変わらないことを考える。そう、スケートのことだ。スケートボードのことである。あの角度がいい、とか、あのコースはあのトリックを映えるのに良さそうだ、とか。少年みたいな好奇心を止まらせない。けれども実際に行動に移せないのは、南城自身が大人であることと、スケートボードを持ってきていないことが大きかった。
もし自前のボードがあれば、今すぐストリートを始めていたところである。
それを満たすように〝S〟を創り、クレイジーロックというスケーターたちの環境を作った愛抱夢の功績は大きい。
朝のジョキングを終えた身体で、南城は自前のプロテインを作る。自宅に帰り、シャワーを浴びたあとのことだ。ミキサーでギュルギュルと粉と牛乳、それと好みの味をミックスしたあと、グラスに注いだ。それを一気に飲む。朝の日課が終われば、店の仕度だ。本日の〝Sia la luce〟は営業日である。
南城は仕度をする。あの頃はどこまでもいけると確信したが、今は店を持つ身だ。無茶をするのは、スケートくらいまでしかできない。必要なものだけを持ったら、自分の店までバイクで向かった。
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