10:00(ある老手記)









 ふと桜屋敷はパトカーの見回りが強くなったあの頃を思い出した。同時期、南城も一時的に強くなった見回りを思い出す。住宅地での警察の巡回が強くなった背景を、ただ一人、愛抱夢だけが察してはいた。しかし、あの二人には伝えない。今となってはどうでもいい、取るに足らない些末なことであるからであった。